こんにちは。
今回は現役外資金融社員である私が、
金融の仕事、営業と内勤で働き方が全然違う件
というテーマでお話します。
就活ナビサイトなどでは「金融」とひとくくりにされがちですが、
実際の金融業界では、営業と内勤で働き方が全然違ったり、内勤の中でもさらに仕事が分かれていきます。
『堅苦しい』『難しそう』『営業きつそう』といったイメージが付いて回る金融業界ですが、
実際のところ本当にそうなのか?営業以外の仕事は?エントリーして大丈夫か?といった点が気になる就活生・学生さん向けの記事です。
この記事を読めば、金融の仕事内容をより身近に感じていただけるだけでなく、就活で企業や業界、職種を選ぶ際の参考になると思います。
金融を切るなら、業界でなく職種
就活生に対して金融を語るとき、よくある切り口は
証券は~
保険は~
というように業界で分けられがちです。しかし今回はあえて、職種によって金融の仕事を解説していきます。
本題の前に、一旦ここで認識合わせということで、就活用語の確認をしましょう。
業界とは・・・同種類の商品・サービスを扱う企業群、区分け
職種とは・・・企業の中での仕事の役割、部署
金融の仕事を考えるなら職種!その理由3点
ここで、金融の仕事に関して職種で分けて考えるべき理由をご説明します。
- どの業界も、職種で切るとだいたい同じである
- 入社してからのギャップが激しい
- どの業界にいるかよりも、どの職種で働いているかが大事
1. どの業界も、職種で切るとだいたい同じである
仮装通貨のようなIT×金融のような特殊な領域でない限り、金融の同職種でやっている仕事は大差ありません。
逆に、同じ会社でも職種が違うと全然違ったりします。
2. 入社してからのギャップが激しい
「金融=大企業」で間違いなく、「大企業=仕事の細分化」もほぼほぼ間違いありません。
イメージ的には、ベンチャーでは一人でやるような範囲を、大企業では3人でやっていたりします。
事業の規模も大きく、社員もたくさんいるので仕事の種類が多く、1でも述べたように同じ会社にいるのに全然違う仕事をしていることが多々あります。
3. 実際に働いたら、どの業界にいるかよりも、どの職種で働いているかが大事
これは私の感覚ですが、一度会社に入って働き始めたら、自分がどの業界のどの会社にいるかというのは、普段全くと言っていいほど考えません。
逆に考えるのは、今目の前にある仕事です。つまり、何の会社にいるかよりも、何の仕事をしているかの方が圧倒的に大事ということではないでしょうか。
3点理由を挙げましたが、結局最重要なのは、「自分が将来どのような会社で働くかではなく、どんな仕事をするか」です。
企業や業界の研究をすることも重要ですが、実際に会社に入ると一般的にどんな仕事があって、どういう楽しさ、辛さがあるのかを知っておく必要があります。
そこで、職種の一番大きな営業と内勤について、金融業界における両者の違いについて詳しく説明していきます。
営業と内勤の違い【説明会では教えてくれない】
まずは営業と内勤で大きく違いますので、その説明をします。
例によって、用語の確認です。
内勤とは・・・基本的にはお客様と対面でやり取りを行わない。外回りにもいかない。
もちろん、この定義により2つがはっきり分かれることはなく、どちらにも当てはまる仕事も当然ありますが、大半はこの2分類で説明可能です。
ではこの営業と内勤で何が違うのでしょうか。
「楽しさ」などのメンタルな部分から、「資格」「給与」など気になる実態の部分に分けてお伝えします。
仕事の楽しさが違う
楽しさ。やりがいとも言い換えられるかもしれません。
そもそも、営業は人を動かす仕事です。
人が動いて、お金が動くと、自分の成果になります。
成果が出ると、お客さん・取引先から感謝されたり、自分のボーナスが増えたりして、達成感を感じます。
逆に内勤の場合、仕事相手は「社内の人」である場合が多いです。
もちろん取引先もいて、契約の交渉を行うこともありますが、
会社の売り上げを増やす営業の交渉に比べると、会社で使う費用を削減する交渉の方が多いです。
営業に比べると人から感謝されたりする場面は少ないものの、社内で円滑にコミュニケーションを取り、システムの導入や業務改善を行うことにより、社内のインフラが整えて業務を楽にできたり、正確かつスピーディーな管理業務は会社の評判や信用を上げることにも繋がります。
仕事のつらさが違う
営業が一番つらいのは、何だと思いますか。
怒鳴り散らかしてくるモンスター取引先でしょうか?
窓口に来るクレーマーでしょうか。
もちろん人によりますが、「上司」であることが多いです。
営業部隊のトップには必ず営業部長がいて、この人の性格や仕事の進め方によって、
チームの雰囲気やノルマへのプロセスが変わってきます。
これだけパワハラが問題になっている令和の時代でも、怒号やモノが飛んだり、詰められる営業支社・グループはあります。
金融の営業に行きたいという人は、営業部長・支社長によって働き方だけでなく自分のメンタルが左右されるということを覚えておいてください。
内勤はそれに比べてノルマがないため、詰めてくる人間も少ないです。
ただ内勤は、どうしてもPCと向き合ったり事務作業を行う時間が長いため、仕事の退屈さがつらさの原因になるでしょう。
また大抵の人は、一生ずっと同じ事務をやるというキャリアではなく、内勤の中で色々な仕事を転々とする人が多いです。
例えばファイナンス領域にいるとしたら、会計部門⇒投資部門⇒収益管理部門 などです。
取得する資格が違う
資格、勉強することですね。
営業と内勤、どちらに転んでもある程度の勉強は待っています。
営業であれば売る商品の勉強をするのはもちろんのこと、セールストーク術やマーケティングの勉強、FPなど、仕事にすぐに生かされるような勉強・資格取得が多いです。
一方で内勤は、各部署により求められる資格が全く異なり、またその資格を取っても実際の仕事に活かされているのかどうか実感しづらいものが多いです。
簿記の勉強がそのまま仕事で出てくるわけでないですし、証券アナリストなどの勉強をしても実際にアナライズするかというとある程度ルーチーン化されていたりします。
仕事の対価が違う
対価。評価と給与の部分です。
営業の仕事は、どれだけ契約させるか
内勤の仕事は、どれだけ正確に処理を行うか
つまり、営業は契約数だけ評価が上がる足し算であり、一方で内勤はミスをしたらマイナスという引き算です。
(実際に内勤で失敗をしたから減給、というのはあまり無いと思いますが・・・)
この基本構造の上で、内勤は業務改善やプロジェクトへの貢献などにより、上司からどれだけプラス評価されるか、といったイメージです。
また基本的に、同じ会社でいても営業社員の方が内勤社員よりも給与水準が高いです。
これは金融業界によらず、一般的にどこでもそうです。
この給与、年収の差は何の差かというと、
営業社員が残業や休日出勤をすることによる残業代の差や、変動賞与(会社・個人の業績により変動するボーナス)の差です。
労働時間はまちまち
労働時間はやはり全体的に営業社員の方が多いものの、内勤でも部署によっては営業以上に長時間働く部署もあります。
しかし一般的には、営業社員の方が長く働き、多く稼ぎます。
内勤の中でも分かれる
顧客管理/システム管理/経営管理
内勤とは、「基本的にはお客様と対面でやり取りを行わない。」ということでしたが、そんな内勤も大きく3つに分けられます。
- 顧客管理
- システム管理
- 経営管理
1. 顧客管理
金融商品は形が見えないと言いますが、その分利用者の数は莫大です。
今この記事を読んでいるあなたも、スマホの中や財布の中に金融商品が入っているはずです。
顧客管理はそんな大量のお客様の個人情報を管理したり、営業マンがとってきた金融商品の契約の手続きを行ったりする、いわゆるバックオフィスと呼ばれるところです。
例えば証券。
証券会社は金融の中でも特に営業のイメージが強いと思いますが、それを支えるバックオフィスの社員もたくさんいます。
また、営業サポートのような形で、管理業務もしつつ営業マンの事務サポートも行うような社員も多いです。(こちらは女性が多めです)
また、銀行でもバックオフィスはたくさんいます。銀行というと窓口にいるテラーさんや、法人営業をイメージしがちですが、
裏ではお客様の預金や帳票を管理する人がいたり、コールセンターなどの仕事もあります。
「金融の正社員なのにコールセンター?」と思われるかもしれません。
確かに、コールセンタースタッフは派遣社員や契約社員などが多いのですが、
コールセンターの業務を統括することだったり、契約社員が回答できないものに対応するのは正社員の仕事ですので、意外と仕事はたくさんあります。
金融商品によっては、顧客の情報がダイレクトに、お客様への支払金額や与信の金額に影響します。
例えば生年月日が間違えていれば、保険商品の有効期間が変わってきたり、お客様の個人情報によって貸付できる金額が変わります。そのような細かなデータの管理・保全を行っています。
顧客管理は退屈?
金融のバックオフィスは、一部を除いて単調な仕事であることが多いです。基本的にはルーチーンワークをこなしつつ、イレギュラーの対応をしながら、時にプロジェクトを進めながらキャリアアップしていくイメージです。もちろん、バックオフィスの経験を積んでから経営に携わる部署へ異動もあり得ますし、バックオフィスでマネジメントまで昇進する場合もあります。
労働時間としては比較的少ないのですが、会社や部署によっては月60時間残業するところもあるのでまちまちです。
また身につく知識もバラエティに富んでいます。
例えば保険会社では、事故や病気の際に支払う保険金を査定する部署がありますが、ここでは金融知識というより、火事や天災、交通事故に関する知識や、医的知識などが身に付きます。
多様な事務を経験するので、バラエティに富んだ知識を身に着けることができる反面、社内でしか使わないようなシステムや用語、ルールに詳しくなってしまうため、「このままでは社外で通用しないのでは?」という不安要素が出てくる場合があるという一面もあります。
2. システム管理
社内で利用するシステムを保全するIT部門の社員です。
こちらは顧客の情報には触らず、社内のシステムをより良くしていったり、システム障害に対応したり、システム全般について管理を行います。
会社によって、またシステムによって異なりますが、システムまるごと外部業者に委託する場合もあれば、社内にスペシャリストがいる場合もあります。
ですので、ガチガチの文系出身の社員がIT部門で働く場合は、社内と外部業者の間に立って、自社の要求にこたえながらシステムを設計していく、Sierのような立ち回りです。
比較的文系就職した人がシステムへ配属になると思いきや、意外と文系出身者も配属されることがあります。
労働時間に関しては、多少多めかもしれません。「金融システムはヤバイ」と、システム屋の間でも避ける人がいるくらいです。
膨大なデータを扱う上に、金融特有の古くからあるシステムの改修をするので、やりづらいようです。
また、障害対応や緊急性の高いプロジェクトに入っていると、深夜に働く日もあるかもしれません。
今就活生の文系学生などで「金融に行くならIT系には行きたくない」という人や、逆に理系で「IT系に行きたいので希望したら配属されるのか」という人など、就職前、選考前に採用担当者等に聞いてみるといいでしょう。
3. 経営管理
最後は、経営に直接・間接的に携わる経営管理部門です。
コーポレート部門とも呼んだりします。
イメージとしては、顧客管理もせず、かといってシステムの人でもない、本社にいる人たちというイメージです。
おそらく「できる人しか行けない」のような印象を持っている方が多いと思います。
確かに優秀な人も集まってくるという面もありますが、それはごく一部です。
さらに細分化するとすれば、コーポレート部門は、
- 直接的に経営管理を行う部門
- 間接的に経営管理を行う部門
に分かれます。
1には、やはり社内の優秀な人(年次の高い人たち)や、コンサルなどで経営のノウハウを身に着けてから来た中途の人がいたりします。
2には、色んな人がいます。経理や財務があれば、商品の企画部署、投資部門があったりします。若手もベテランも中途もいます。
新卒で配属されるとしたら、金融の場合ほぼ間違いなく2です。
すぐに1に行きたいなら、小さいベンチャーなどに行ったり、外部から経営のアドバイスを行う経営コンサルに行くといいかもしれません。
仕事内容も部署によって様々です。
上の例だと、経理であれば決算業務など会社のお金を管理する仕事、財務は決算をもとに会社全体の予算管理を行ったり、商品企画であれば新しい金融商品を作ったり、投資部門ではお金の集まる金融機関のお金を運用します。(証券会社のトレーダーであれば、社内外のお金を運用することになりますね)
労働時間はわりとホワイトな部署が多めな印象ですが、1の直接的に経営管理を行う部門など残業の多いところもあります。
給与については顧客管理よりも少しだけ賞与が高かったりしますが、それも会社によります。
まとめ
以上、簡単ですが営業と内勤の違い、また内勤の中でも3種の職種に分かれることをお伝えいたしました。
※もちろん法務部や労務など、上記のどこにも属さない部署も存在しますが、社内でもレアな部署ですので今回は省きました。
マイナビなどのナビサイトの求人には、このような職種による違いは細かく書いておらず、きっとさらっと書いてあるはずです。
保険=営業、銀行=窓口、・・・のような安易なイメージを持っていると、
選考が進んだときに理解が及んでいないと面接官に突っ込まれたり、入社してからのギャップが大きくなります。
とはいえ、私の記事では企業間、業界間の比較はしていないため、ご自身の目で具体的にどんな仕事があるのかチェックしてみると良いと思います。
マイナビの登録がお済みでなければ、どちらも登録しておくとよいでしょう。大抵の企業を網羅できるはずです。
マイナビ公式:https://job.mynavi.jp/2021/
リクナビ公式:https://job.rikunabi.com/2021/
また、マイナビなどのナビサイトでは情報の羅列であり、実際の企業の「仕事」に関してまで踏み込めないと思います。
生の企業の声をキャッチできるという点で、MeetsCompany
などのイベントに参加するのがオススメです。
実際の企業の担当者と比較的少人数で話す機会というのはあまりないため、こういったイベントを利用して、自分のイメージ・想像と仕事の実際・実態を比較すると、他の就活生と比べて頭一つ抜けられるでしょう。
就活は情報戦です。貴重な新卒切符をどのように使うかはあなた次第ですので、早めの行動でライバルに差を付けられるといいですね。
就職エージェントなどを利用し、気軽に就活の相談ができるプロを常に着けておくと、情報面でも精神的でも安心です。
就活エージェント(就職エージェント)の徹底比較いたしました。アドバイザーおすすめのエージェントや、意外と不評な大手エージ…
また、理系学生にはこちらの記事もおすすめです。
ご覧いただき、ありがとうございました。